「返辞」

 ムーサの神々、ヘリコンの詩神達、我が手より成るものに息吹を与えたまえり。  天空におわす神々と、地上と水面に住まう神々の宴は終わらず、古の詩聖は天に昇りて神々とともにいたり。  我が世界に恵みを与えたるか。神々の慈悲を、かのヘラクレスが天に昇るが如く受け入られようか。  ムーサの神々よ、詩芸の九柱よ、我が答えはいかがや。  かの神々の仕えし、天の宮におわす神々は、斯様の情念を持ち合わせし。
 オリンポス山の頂、雲上の離界、神々の集いし宮。  かの黄金に輝きたる処へ、想像の翼羽ばたかせらば、左様、神声聞くこと能わんとや謂われん。 「どちらへ?」  ヘスティアは炎を見つめながら言った。 「また、下界へ?」  ゼウスはそれに笑って言うのだ。 「これも、神の仕事ですから」

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